父のこと
とにかく厳しい父でした。
分厚い手のひらが、しょっちゅう飛んできた。
なぜ怒られているのか全然記憶になく、ただ怖い父という思いだけが残りました。
だから六十二歳という早い年齢で亡くなってしまい、もったいなかったですね。
いろいろ教えて欲しかった
もっと素直になりたかった
心の壁を壊したかった。
父との間には、やり残したことが沢山あるような気がします。
でも闘病中に私だけに見せた完全な笑顔が、今までの一切の事を救ってくれました。
死因は、胃がんから多臓器への転移でした。
胃がんが見つかってから一年ちょっと程でしたので、進行がとても早かった。
白装束の旅支度の時、体のあちこちに基底細胞がんが見られました。